<空想科学祭>レビュー・感想掲示板


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[128] 「リアルライフ」黒木露火 Name:黒木露火 HOME Date:2008/10/12(日) 03:40 [ 返信 ]
【タイトル】リアルライフ
http://ncode.syosetu.com/n2513f/
【連載形式】集中連載
【長さ】短編

幽霊が出る、データが残っていれば死んだあとでも《リアルワールド》の中で生きてける―などという不吉な噂が電脳空間《リアルワールド》にはあった。
友人の死の謎を解くために、主人公は死んだはずの少女を電脳空間に追い求める。


[165] れびゅー Name:卓紙幣 Date:2008/10/19(日) 12:35
ムーンチャイルド企画のために書かれた『欠けてゆく月』があまりにも面白かったので、あれを超える傑作は、なかなか書けないだろうなあと思っていたのだが、この『リアルライフ』は、正直言って前作を上回るほどに面白い。
この部分が面白いとか、あの部分が良かったとかではなく、作品という1個の塊として素晴らしいのだ。
恐らく、プロットも練りに練っているのであろう、無駄な展開は一つもなく、効果的に伏線を散りばめながら、あっと驚くラストまでぐいぐいと読者を引き込んでいくのだ。
『欠けてゆく月』では、幻想的な場面と日常生活でのシーンの絡め方が秀逸だったが、今作『リアルライフ』では、入社間もないフレッシュな社会人ぶりと、仮想空間でじりじりと謎を増す不可解な噂との、ストーリー上の絡め方がとても技巧的で、読み始めたら最後、読者は途中で止める事ができない、まさにリミットブレイカー状態になってしまうこと必至だ。
また、この作品中に登場する人物像は、皆その外観について多くを語られていない。にも関わらず、主人公の佐山はもとより、かつてのゼミ仲間や、派遣社員の山部(山辺とどっちが正しいのか?)、切れ者の秋山課長やチーフの野間など、その容姿を、まるでテレビドラマでも観るように鮮明に脳裏に思い描く事ができるのだ。
人物の外見を細かに描写しているようではまだまだ甘い、その人物のセリフや行動でもって容姿までをも連想させるようでなければ優れた小説と言えないのだという事を、この作品を読んで思い知らされた。

ジャンルとしては、サイバースペースを舞台にしたサスペンスという感じで、ホラーとは少し違うような気もするが、謎の少女ミホの『泣きぼくろの少女』という設定が、伊藤潤二の『富江』を連想させて不気味な雰囲気に拍車をかけている。
とにかく面白かった。


[166] RE:「リアルライフ」黒木露火 Name:びっきゅじ Date:2008/10/19(日) 12:49
 一番乗りはやはりかの大物レビュアー様に先を越されてしまっていた訳ですが、遅まきながら感想を。

 電脳空間、触覚などの再現とくると、個人的には某漫画を思い出してしまうのですが、それとは質の違った(良い意味で)小説でした。
 この手の物語なら、一プレイヤーを主人公に据えるのが常套手段だろうなぁと勝手に想像していたので、管理会社の社員が主人公になっているのもストーリーに合っていて面白かったです。伏線も上手く配置され、回収の仕方も不自然ではなかったのでその辺りに作者様の構成力の高さが見え隠れしています。
 ただ、ちょっと寸が足りなかった感があったのが残念です。この話ならばもうちょっとふくらみを持たすことが出来たのになぁ、と勝手に想像してみます。
 投稿お疲れ様でした。


[167] 感想 Name:四十万 Date:2008/10/19(日) 13:47
 一見、テーマは手垢に塗れている。電脳○○ルや攻○の世界、現実にもセカンドライフがある。
 仮想空間での幽霊の噂から一人の人間の怨念に至る終盤まで、ぐいぐい引っ張る“作家力”は見事だが。そう思って今一度題名を眺めれば・・・

 当然セカンドライフを捩った命名、リアルワールドであるが、作者はこのリアルワールドという仮想空間の名前にこそ思いを込めた様に思える。
 セカンドはあくまでもセカンダリ、である。しかし、作者はその仮想空間をリアル、つまりプライマリと呼んでいる。そしてそこでの暮らし、リアルライフ・・・
 この題名の示す世界が作品を通して読み進めるに従い、皮肉っぽさ〜ぞっとするような現実(リアル)に転化して行くのを読者は感じる事となる。
 現実がリアルか、仮想空間がリアルか、は今後バーチャルが世界を更に席巻して行けば、その境界は今以上に曖昧なものとなる。幽霊ではなく実際に“そこ”で生きて行くことになるやも知れぬ。ああ、これもあの電脳アニメのテーマだったか・・・


[260] 感想のつもり Name:あゆみかん Date:2008/10/25(土) 20:42
うおお。料理で言いましたらば、あっさり系でございました。素材を楽しんでいるような。おいしかったです(笑)。無駄のない隙のない滑りで作家様の世界へ運び込まれたような気がしました。実際にあるセカンドライフの事が脳裏に浮かびましたけど、遊びとの線引きがいつも問われる所。自分も過去に似たようなのを書いた事がありますが、危険は常に隣り合わせ。自分を見失うとドえらい事です。自覚って大事ですね。
話変わりますが電話しながらお辞儀してしまうクセって直した方がいいんだろうか。別にいいか? どうなんだろうな自分。まあいいや。
ではでは執筆ご苦労様でした。


[262] RE:「リアルライフ」黒木露火 Name:俊衛門 Date:2008/10/25(土) 23:24
サイバー空間の概念って、霊的なものが絡んでくるみたいですけどその辺の設定がうまく生かされているなと感じました。
骨太なSFでありながら、ホラーテイストが加味されていて、なんとも言えない不気味さが好みです。幽霊は信じない性質ですが、こういう話は実際にありえそうなので余計に怖かったです。


[284] 感想 Name:天崎剣 Date:2008/10/26(日) 17:49
作りこまれた設定、そしてしっかりと組み立てられた筋書き、なるほど見事です。
こういうバーチャルの世界は実際、現代でも境目がなくなってきていますよね。文字の羅列に過ぎないものでさえ錯覚を起こすのに、このリアルワールドの世界では更にその危険度が増していくのですね。
読みやすい文章で引き込まれていき、あっという間に読み終えてしまいました。本当に面白かった!

出来るならば冒頭の居酒屋シーンなど、随所での登場人物の多さを何とかしてほしかったかも。結局大事な人物は誰なのかわかり辛くしてしまったり、覚え切れなくて読者がパンクしてしまったりするんです。長さに応じて最高登場人物数の目安をもうけ、必要な人物以外は名無しにしてしまうのもすっきりさせる手だと思います。
あとはあれですね、誤字が気になりました。
山辺か山部か。ここが一番大きな誤字。是非修正を宜しくお願いします。


[351] RE:「リアルライフ」黒木露火 Name:じょーもん Date:2008/10/31(金) 10:49
 私はテレビなど無くても生きていけるが、インターネットがないとちょっと途方にくれてしまうかもしれない。仕事にしろ、楽しみにしろ、結構インターネットに依存している。仕事は依頼も納品もネット経由で可能だし、趣味の読書だって、ネットで検索をかけて予約して、全11図書館の蔵書の中から(書庫に入っているものまで)近場の図書館に届けてもらえる利便性。それから、貴重な情報に混じって、私のような単なるおばさんが、偉そうに小説を書いたりレビュー書き何かできるといったような玉石混淆も甚だしい混沌とした世界。でもそこはそれ、若くない悲しさでリアルを蔑ろにできないとどこかで分かっている。
 だが、当たり前にバーチャルで「自分にとって心地よい」自分が当然に主人公でいられる甘ったるい世界に、浸りきることに禁忌を持たない者たちが大勢を占める時代が来てしまったら、果たしてどうなるのだろうか。なんだか、どうか一歩転んでしまうと、とんでもないところに行ってしまうのではないかという、今傍らに存在する危険に、カッとスポットを当ててくるような作品でした。するとこれは社会問題がテーマなのかもしれない。
「現実を見据えて生きない人間は‥‥」のクダリ、メッセージ直球ど真ん中ストレートみたいな感じではありましたが、バーチャルに耽溺することに禁忌を持たない程度の感性へ訴えるには、このくらい露骨になるのも仕方ないのかもしれないですね。

 一気に読ませる筆力は見習いたいものです。

[377] RE:「リアルライフ」黒木露火 Name:黒木露火 Date:2008/11/02(日) 08:11
レビューをくださったみなさん、どうもありがとうございました。

この作品の作者の脳内テーマは「自殺」でした。脳内テーマなので、きっちり読み手に伝えようという気はありませんでしたが。
「死にたければ勝手に死ねばいい」という人が大勢いて、「どうせ私が死んでも世界の何が変わるわけでもない」と自殺する人がいる。
でも、人と人が関わって生きている限り、知ってる誰かが自殺して影響を受けない人はいないと思うのです。
そのネガティブな影響=「自殺者からの負の遺産」によって人生を狂わされた人たちを描こうと思いました。
タイトルの「リアルライフ」は「本当の生命は現実の中にこそある」という意味を込めてつけました。もちろん、セカンドライフのことも念頭にはありましたけれども(笑)

実はこちらのチャットで話をしていた折に、出た話題が元になって書かれた作品でした。
原案の売国有罪さんにはこの場をお借りして、改めてお礼を申し上げます。



  



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