<空想科学祭>レビュー・感想掲示板


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[6] 小田中 慎[Dusk of Paradise 〜黄昏時に捕まえて] Name:小田中 慎 HOME Date:2008/09/01(月) 01:08 [ 返信 ]
[タイトル]Dusk of Paradise 〜黄昏時に捕まえて
[作品URL]http://ncode.syosetu.com/n9769e/
[あらすじ]
第3次大戦と核の冬を経験した日本は海外派兵の続く管理国家になっていた。そこで芽生えたサイと年々若返る女の愛の結末は?
[一言]
ご批評・投票お待ちします。甘口/辛口問いません。



[123] れびゅー Name:卓紙幣 Date:2008/10/09(木) 19:25
政府や軍が、徹底的に個人を監視する社会は、ある意味、共産主義的なアンチ・ユートピアを連想させる。この小説を読んだとき、映画『シュリ』を連想してしまったのは、きっとそのせいだろう。とてもクールなのに情熱的なのだ。
超能力者の青年将校と年齢が逆行する女性との耽美的かつ退廃的な恋物語は、近未来を舞台としたSFでありながら、どこかダダイスム的な大正ロマンを思わせる。なにより作中で効果的に使用される夕焼けの描写が見事なのだ。
サイと呼ばれる超能力者が繰り広げる戦いは、心理的な駆け引きも相まって武器戦なんかよりはるかに面白い。
それにしても、軍や警察関係者について、その組織構造や官舎の間取りから細かい備品の一つ一つにいたるまで設定があまりにも緻密で、なんだかとってもマニアックな世界に引き込まれてしまうのだ。


[330] RE:小田中 慎[Dusk of Paradise 〜黄昏時に捕まえて] Name:じょーもん Date:2008/10/30(木) 21:11
小説に何を求めるのかということは、人によってそれぞれあっていいことだ。私は時間も考え方も風土も凡てが今とかけ離れているどこかで、生きている人間を感じることが好きだ。そこに描かれている世界の中で、共感できようとできまいと、好きであろうとなかろうと、生きている人間を見ることが好きだ。
 そういう意味で、耽溺させてくれる作品であったと思う。作中で流れている長いはずの時間の料理の仕方というか濃淡を変えるやりかたもうまいと思う。
 写真というものがシャッターで時間を切り取ることができるように、たまたま密度が濃くあったときを濃厚にたっぷりと描きとる一方で、それを容赦なくなぎ払っていくかのような急展開もあり、緩急自在とはこのことかという感じ。
 穏やかな何気ない時間が、まさにギフトであったことを証明するかのような情景描写も美しい作品だったと思う。
 
 技術というものが持つ理不尽には敢えて触れず、そこにあるものとして扱い、設定という枠に治めてしまっている。それは社会とか国家とかなんと言っていいのか分からない圧倒的に個人を抑圧する何かに、結局抗うこともしないかわりに、それに安住することもできないでいるという、どこか孤独感を漂わせた存在にスポットを単に当てることに徹した故かもしれない。ただ、だからこそ、孤独によりそえる魂とふれあえた時間が救いであるかのように(失われたとしても)生きてきている。

 蛇足だが、作品に余韻を持たせる効果を狙ったのか、終章に突っ込む前にひょんと配してある後書き(でいいのかな)の位置が絶妙。いつかマネしようっと。

[349] 感想 Name:四十万 Date:2008/10/31(金) 02:55
 軍人と超能力者、得体の知れない女。 近年SFの常道であるし、書き易くもある。 だからこそ、この手の登場人物を配する作品は、それを作者がどう料理するか問われることになろう。
 正直に言えば、語る力はある。 しかし構成力に相変わらず弱さが見え隠れしている。 物語る、とは、如何に表情豊か・感情を込めて語るだけでなく、やはりその“おはなし”の内容が面白くなくてはいけない。
 特にマニアックな作品であるからこそ、万人に受けるためには、ある程度の端折も必要となろう。 しかし、しっかり語ってしまった・・・ここで断念する方もいるであろう、その意味、残念である。

 少しは褒めておくならば、脇役に魅力的なキャラを配することは相変わらず上手い、ということ。
兼田君主役は見てみたい気がする。

 で、私の感想はここまでである。 気に障った方も多かったと思う。 これも私のキャラクターなので、笑って許して頂けたら幸いです。
 大変失礼しました。 皆様、お疲れ様です。


[388] RE:小田中 慎[Dusk of Paradise 〜黄昏時に捕まえて] Name:天崎剣 Date:2008/12/06(土) 06:06
感想が遅くなり、申し訳ございませんでした。
(読むのが元来遅いのですw)

楽しく拝読いたしました。読ませる文章、引き込ませる展開が上手い。この一言に尽きます。
軍関係の話ですと、なかなか手が出ない人も多いはず。なぜなら、専門用語等々読み進めるに億劫なものが点在する世界観だからです。しかしながら、私はこの話の読みやすさに引き込まれ、ぐいぐいと読み進めてしまいました。
こういった感覚はとても嬉しいですね。

設定にまず惹かれ、読んでいく中で気にかかったのは、スピンオフ作品であることに由来すると思われる人間関係のわかりにくさです。
本編を読むきっかけになるとは思うのですが、どうしても主要人物以外のことは、初読の人間には難しく思えてしまいました。この点が解決できますと、更に魅力的な構成になったのではないかと思われます。
更に、悔しいかな、最終章がまた本編を読まずしては理解できないのではないかと思われる要素をがっちり盛り込んでしまったところが、実に惜しい。
悲恋であることは間違いないこの設定で、最後どうしても本編と結び付けたかった作者の想いがはっきりと読み取れてしまい、多少興ざめしてしまうのです。

登場人物それぞれの個性、絡ませ方、心理描写や細かい設定など、魅力的なものが詰まっている作品だけに、一つの作品としてこの終わり方だけちょっといただけないかななどと、作品の世界に入りきってしまった読者の一人として言い残しておきます。



  



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