古いSF作品のオマージュらしいが、神父が主人公とは実にクールでカッコイイ(相変わらずヘビースモーカーのようだが…)
いつも思うのだが、この作者のスゴイところは、変幻自在な言葉のマジックを使うところにある。
隠喩表現に絶妙な細工が施してあるので、読み進めるうちに情景を描写しているのか心理を描写しているのか判然としなくなり、やがて全てが混然一体となった不思議な世界のイメージとなってフィードバックされる。なんだか、強い酒に酔っぱらったような現実世界との乖離を味わえるのだ。
告解室での暗幕を隔てての会話は、その妙にシュールなシチュエーションとは裏腹に、この物語の根底にある危険な世界観を予見させる優れた演出だ。
それにしても、脱走レプリカントの共同体という設定は、あまりにも魅力的でしかも危険だ。人類は、アイザック・アシモフの唱えた『ロボット工学の三原則』を再考すべきである。
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